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1998.07.06 |
Hi, Tog,
あなたのアイデアはここ Hamburg 大学にいる一人の読者をまた喜ばせましたね。これはあなたのイラストにちょっと変更を加えたものです。きっと面白がってくれると思います。
Best regards,
Matthias Mueller-Prove
GoLive Systems GmbH & Co.
Hamburg, Germany
Matthias が手直ししてくれたのは、Laurie Vertelney によるイラストである。あるホテルのロビーで、男がコーヒーの中に注意深く塩を入れている。その結果ホテル全部を再起動しなければならなくなり、男は地下室まで転がり落ちてしまう。このギャグはもともと Apple のトレーニングフィルムのために作成され、その後 BBC 用に作り直された。
このギャグの要点は、もし現実の世界がコンピュータのように気まぐれであったなら、そんな危険なところにはとても住めないだろうということである。そして深刻な問題がシステムの深い部分から生じる傾向があるために、デザイナーはいつも気が抜けない状態なのだ。我々の仕事は非常に基礎的な部分にまで及ぶのである。
「しかし」とあなたは言うだろう。「それはデザイナーの仕事ではない。それは建築家の仕事だ!」
では我々は一体何だ?室内装飾家か?
ソフトウェア・デザイナーがすることというのは、エンジニアが思っていることに反し、インテリア・デザインなどとは全く種類の異なることである。我々がしていることはまさに建築である:魅力的なデザインによって人々を招き入れるのだ。
建築家としてのデザイナーには、紙と絵の具を選ぶだけではなく、もっとずっと多くの仕事がある。我々の仕事は、遙か基礎工事にまで至らなければならない。もし基礎的な部分に不具合があれば、世界で最も色鮮やかなインテリアも音をたてて崩壊する運命にあるのだ。
実例:Windows 95/98 や Macintosh コンピュータ。私は数年間 Sun で働いていた。そこで私は自分の Mac をまるで救命具のように肌身離さず使っていた。もしあなたがプログラミングや航空券の予約をして過ごすのであれば、Sun のコンピュータは素晴らしい。それは用途の限定された膨大なタスクのための巨大なハードウェアである。私が Mac を手放せなかった理由は、頼りにしているたくさんのアプリケーションがあったからだ。そのうちのいくつかは Sun にも対応していた。そのため私は二つのマシンの間で時間を半分ずつ分割すること(半分の時間はEメールの返事書きをし、もう半分で実際の仕事をする)を止めることにした。
私はすぐにあるパターンに気がついた。二つのマシンは両方とも同じ数字のもとに再起動しなければならなかったのだ:その数は2である。ただし Macintosh の場合は2時間毎に、Sun の場合は2ヶ月毎にという訳だ。
まるで帽子が落ちるようにパーソナル・コンピュータが落ちて、落ちて、落ちまくる限り、ソフトウェア・デザイナーは仕事を終わらせることができない。アプリケーションやサービスがデータを喪失させ、あるいはクラッシュして炎上し続ける限り、ソフトウェア・デザイナーの仕事は終わらない。どんなに素晴らしいインターフェイスであっても、それを動かすプログラムの代わりにはならないのだ。
デザイナーの仕事は、まるで関係のなさそうな蚊帳の外にまでも広がらざるを得ない。もしあるソフトウェアをインストールするのに20時間もかかるとすれば、その製品の使い勝手などは問題にもならないだろう。インストールに関して言えば、Microsoft が Apple を追い越していると言えるかもしれない。Macintosh 版の Microsoft Office 98 は、ひとつの理想的な方法を提供している。それはシンプルなドラッグ・アンド・ドロップによってインストールが可能になっており、必要なファイルをシステムフォルダの正しい場所に移動するといった面倒をアプリケーション自身が見てくれるのだ。そして初心者にも優しく、もしあなたが整理をしているつもりで必要なファイルをシステムフォルダから取り出してしまっても、クラッシュしたりせずにアプリケーションが自動的に再インストールしてくれるのである。
その内容にかかわらず、エラーメッセージというものは軽視されがちであり、なぜかエンジニアに任せられていることが多いようだ。メッセージの文章はバグの記録作業に応じる形で最後の短い時間に作られることが多く、デザイナーはよほど注意していない限りそれを知ることもない。
デザイナーはメッセージの文章に責任を持つべきであるだけでなく、そのメッセージがきちんと届くようにしなければならない。私は昨日新しいハードディスクを導入し、そこにシステムフォルダを移動した。再起動してみると、古いデスクトッププリンタのアイコンに大きな×印が付いている。そのため私は新たにプリンタを選びなおして新しいアイコンを作らなければならなかった。これまでに私はもう40回もプリンタを選びなおしてきたが、新しいアイコンが自動的に表示されるようには未だになっていない。そしてコンピュータは一言もそのことを知らせてくれないのだ。私は自分がウェブで情報発信するようになって本当によかったと思う。なぜならそれによってペーパーレス・オフィスに近づくからである。
メッセージは簡潔に的を射て、問題を告げるだけでなく解決方法を提供するものであるべきだ。
どうやってユーザにコンピュータを扱わせるかということについての Apple と Microsoft の哲学の相違を考えることは非常に有益である。Macintosh では、人々がコンピュータの地下室(下部構造)について知らなくてもよいという思想がすべての元になっており、地下室は隠しておくべきだとされている。数年を経るうちに Macintosh の地下室はすっかり複雑になってしまった。それでも Apple は地下室など存在しいないのだという態度を取り続けている。彼らはバージョン番号を「情報を見る」ボックスの中に隠し、人々がもしそれを見たら驚いてしまうと考えているようだ。その結果、人々はあるソフトウェアをアップデートするべきか否かを確認するために膨大な時間を費やすことになっている。
一方 Microsoft は彼らの地下室をいつも誇らしげに見せびらかしている。実際 Windows 95 までは、人々はその地下室で暮らしていたようなものだ。現在、Micorosoft はとても良いバランスを見出しているようだ。(改善の余地が無いというわけではないが。)Apple は人々が自分で対処できないようなことから彼らを防御しようとし続けている。Microsoft は必要なことを人々が知ることができるようにしている。たとえその知識が醜いものだったとしてもだ。
本当に優秀なデザイナーは多くのことを巧妙に隠すことができる。しかし最後にはツケが回ってくるものだ。私は醜い光を当てようと思う。その結果二つのことが可能になる:はじめに、ユーザはそこに醜いものが潜んでいることをきちんと知ることができる。そのためそれらに対して適切に対処することができるようになる。次に、少しぐらいの醜さであれば、きっと次のリリースで改善することが可能になるはずだ。
議論をもっと広げてみよう。もし何かの素晴らしい機能について最後の最後になって実装できないことが分かり、「次のリリースまでになんとかするよ」と言われたら、あなたならどうする?もしユーザ・テストに失敗したにもかかわらず、何が何でも出荷しなければならないとしたらどうする?Macintosh は80年代初頭にデザインされたものだが、現代の人々は当時よりも洗練されていると言えるだろうか?我々には何ができるのだろうか。あなたはデザイナーとして、エンジニアとして、建築家として、どんな責任を担っているのだろうか?デザイナーの役割とはどこからどこまでを言うのだろうか?そういったことを書いて送ってほしい。そしてまたこのページで議論しよう。
-Tog
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