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2000.03 |
熟練ユーザたちによるアンチ Aqua の戦線はますます血塗られてきており、誰も本当の問題については目を向けようとせず、それは Apple も同じで、10年前と20年前のインターフェイスを急激に合体させること以外には何もしていない。
Apple は「インターフェイスを考える」という優位な立場を Microsoft と共有しており、また一方では「独自のハードウェア」を作ることができるという強みも持っている。Apple は、そのどちらか一方だけでは満足しないようである。インターフェイスのテクノロジーにおける次の変革は、前回の時と同様、ハードウェアとソフトウェアの両方が変化することで生み出される。現在のインターフェイスは、ハードウェアにおける2つの重要な革新による結果であった。つまり、ビットマップ・ディスプレイとマウスである。両者とも1965年に作られたが、GUI による最初の商業的成功を収めたのはそれから19年後であった。
その後の年月において、ディスプレイに関してはより大きくなった(また携帯端末ではより小さくなった)ということ以外にあまり変化がなかった。一方入力デバイスに関してはいろいろなことが起こったが、Mac ユーザにとってはあまり知られていないかもしれない。Apple のまわりで最近起きた入力技術における変化は、キーボードがひどい作りになったことと、ばかげた円形のマウスによって Apple が業界の笑い草になったことぐらいである。
皮肉なことに、唯一本当に優れた入力技術の変化は、ソフトウェアの専門会社である Microsoft の ホイール付きマウスによってもたらされた。(我々は同様のマウスを10年以上前に Apple で試作していた。だがマーケティングするだけの価値が認められなかった。結果的にはやはりただのワンボタン・マウスが最高だったと思うが、違うかい?)
もし Apple が本気で次世代インターフェイスを開発するつもりがあるのなら、来年にはどんなことが起きているだろうか?ちょっと考えてみよう。
これは楽勝だ。マウスを使う者なら誰でも、ダイアログが現れるたびに Return キーを押すことにフラストレーションを感じていることだろう。なぜキーボードの左側に Return キーがないのだろうか?そうすれば何度もマウスから手を離す必要がなくなるのに。同様に、なぜ Del と Delete キーがもうひとつずつないのだろうか。それらはみんな、キーボードの一番左に新しく1列追加して、そこに配置すればよい。
今日我々のスクリーンが、散らかった単語、アイコン、ボタンなどで覆い隠されているのは、マウスの持つボキャブラリが非常に制限されていることに原因がある。マウスの持つ唯一のボキャブラリは「クリック」であり、コンピュータに何かを伝達するためにはその指示を単語にして表示し、その上にカーソルを重ねて「クリック」と言うしかないのである。
もしオフィスでの会話がすべてこんな調子だったら、いったいいくつの単語を紙に書いて貼り付けておけばいいだろう。そんな会話は、遅すぎてフラストレーションがたまってしまう。
ジェスチャーこそ、入力における次のステップだ。Palm Computing のような会社は、Apple のマシンよりもずっと非力なハードウェアでありながら、もう何年も前からジェスチャーを採用している。なぜ Macintosh にはないのだろうか?そしてなぜ OS X にも?Apple はハードウェアについての優位性を自慢にしているのだから、今こそそれを活用すべきだ。
OS X は、タブレットまたはジェスチャ入力のための水平パネルとともに出荷されるべきである。マウスは死んだ。もう変わる時なのだ。
電話機能を統合することにより、ユーザは現実の机上に散らかった多くの物のうちのひとつ ─ 電話機 ─ を持たなくなり、代わりに軽量のヘッドセットを身につけるようになるだろう。ヘッドセットは、音声インタラクションへの入り口だ。ジェスチャーの次に来るのは、音声による操作である。音声認識は使いものになるのか?継続的な発話ではまだダメだろう。しかし我々が必要としていることには、継続的な発話も豊富な語彙も必要ない。あるひとつの状況に対応する20-30程度のコマンドのセットがいくつかあればよいのだ。例えば、Photoshop を使っている状況でユーザは、メニュー項目やツールの名前を声に出す。そのためには数十の単語でボキャブラリは十分なのだ。
想像してみてほしい。このやり方なら、ツールを切り替えるといった作業から解放され、本来の仕事に集中できるようになるのだ。
必要なのは、一連の、もっとパワフルなオブジェクトだ。
これについては、Apple は特許を取得している。Gitta Salomon と彼女のチームによって約10年前に開発された。Pile はドキュメントを大ざっぱにグループ化したものである。視覚的な表現としては、すべてのドキュメントが重なりあい、少しずつ角度がずれていて、束になっている。別な言い方をすれば、デスクトップ上の Pile は、ちょうどあなたの現実の机上に積んである書類の束にそっくりだ。
Pile の中のドキュメントを見るには、Pile をクリックしてそのままマウスを上にドラッグする。そうすると次々とドキュメントのサムネールが Pile の横に表示される。探しているものが見つかったところでマウスを放せば、そのドキュメントが開くのである。
Pile は今日のフォルダと違って、その中身について多くのヒントを提供する。ドキュメントの数は Pile の高さとして表され、内容について知りたければ素早くドラッグするだけだ。
Apple は OS X において新しい種類のフォルダを採用した。Package である。簡単に言うとこれは、あるアプリケーションとそのアプリケーションが起動するのに必要とされる小さなファイルをまとめてひとつにしてしまうというものだ。
しかし普通のフォルダについてはこれまでどおり貧弱で無能なままだ。フォルダはそれを見ただけで、中にいくつのものが入っているのか、そのフォルダはどれぐらい古いのか、そして前回開いてからどのぐらいの時間が経っているのかが分かるといいだろう。私はそれをテキストで取り囲めと言っているのではない。私が言っているのは、24ビットカラーを使って視覚的な属性を追加すればよいということだ。例えば、たくさん物が入っているフォルダは厚く見えるとか、色の濃さによって古さを表し、数年前のものなどはひび割れたりするとか、前回開いてからの時間の経過は、蜘蛛の巣や埃のつきぐあいで分かるといったように。
大きな共同作業においては、プロジェクトレベルの構造をもった File Cabinet が役に立つだろう。各引き出しには、Eメール、グラフィックデザイン、明細書、プロトタイプなどが入っている。あるいは私なら、プロジェクトに関わる各メンバー毎に引き出しを割り当てるだろう。数が少ない場合にはラベルを、多い場合にはツールヒントを表示して、他のメンバーがアクセスしやすいようにしておく。上の段が開いている時にはその下の段が隠れて見えないといったようなこともできるだろう。
私は「Tog on Software Design」の中で、スクラップブックをプロジェクトなどのための手軽な素材置き場として提案した。Pile のコンセプトを発展させて、スクラップブックにはメモや各状況に応じた様々なものを気楽に入れておくことができるのだ。
「Tog on Software Design」から引用すると、スクラップブックは:
スクラップブックの中には:
Notebook はスクラップブックをさらに高度化したもので、恐らく、プロジェクトの達成度といったものを表現することになるだろう。
People は、モダンなインターフェイスにおいて最も重要な要素になるだろう。アイコンサイズの同僚の写真にドキュメントをドラッグすると、自動的に設定されたアドレスに送られる。(もちろん、オプション+ドラッグですべてのアドレスを表示したり、または単にダブルクリックで同じことができるだろう。)
Micorosoft は少しずつ複合型ドキュメントに近づきつつある。Apple は数年前に少し実行していたが、そろそろ本気になる時だ。業界を支配する巨大企業を倒すには、Linux のシステムソフトウェアの世界に見られるように、エンドユーザ同士による共同開発といったものが必要であろう。これはドキュメント・プラットフォームと呼ばれ、異なる開発者がテキスト編集、画像編集、スペルチェック、表計算などの様々なエンジンを提供するのである。
ここまでは、デスクトップ上に表示されるオブジェクトについて議論してきた。しかしデスクトップそれ自体が少々くたびれてきている。我々には、新しい、大きなデスクトップが必要だ。
Sun は、スクリーンに表示される領域より数倍広い“バーチャルデスクトップ”を発表している。小さなマップビューアに従って現在いる場所を把握し、ドラッグして行きたいところに移動できる。だが私の知るところでは、ユーザの評判はあまり良くない。
Quicken は、もっと良いやり方をしていると思う。いくつかの大項目タブがいつも上部にあり、次から次へと環境を移動することができる。ユーザは簡単に“小切手/預金口座環境”から“投資環境”そして“報告環境”へと移動できる。Quicken ではまた、ユーザがどの環境にいる時でも新しい口座を開くことができ、同一の小切手を切るために株の購入を比較したい場合に“投資環境”で小切手口座を開いたりすることができる。などなど。
私なら“AskTog 環境”を毎月表示して、そこに私のすべてのウインドウとツールを並べておくのだが。
これはインターフェイスに組み込まれるべきオブジェクトや機能の網羅的なリストではない。これらは最も分かりやすい例のいくつかにすぎない。
OS X はうまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。しかしそれを優れたインターフェイスと混同してはいけない。願わくば、Apple は自らそのことに気づいて、Finder を自由にしてやってほしい。
真に革新的なユーザ・インターフェイスは、人々に長く待たれている。Microsoft があのようなマウスで成功したことを考えると、近い将来、このソフトウェア専門の会社が我々の進む方向を決めてしまうのかもしれない。
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