Infoperience Home Site map Contact us

AskTog
2000.06

テストをやらない者を雇ってはならない

インタラクションデザインチームの総合的資質を判断するための唯一最良の方法は、彼らのユーザテストに関するプランを見てみることである。もしプランを全く立てていなかったり、「そのうちにユーザテストを行うつもりだ」といった曖昧なものであれば、すぐに解雇して、別のリソースを探した方がよい。一方、デザインとテストを順番に繰り返すような計画案を見せられたとすれば、あなたのパートナーは何をすべきかよく分かっていると言える。

このようにテストを重要視することは、逆説的に思えるかも知れない。つまり、ユーザ・テストをするということは、デザイン能力が低いということではないのか?優秀なデザイナーなら、いくつものテスト項目を羅列することなく、的確なデザインができるものではないのか?プログラマーは、一番最後の QA 以外、多くのテストなしに彼らの仕事を遂行しているように見える。似た要素を持つ職業、例えば建築家なども、多くのテストなしに仕事をしているようだ。それなのに、この花形デザイナーはどうしたことだ?

実際には、プログラマーはしばしば彼らの作業内容をテストしている。これをデバッグという。彼らはコードを書き、コンパイルし、テストして、問題点を見つける。これを何度も繰り返すのだ。この反復作業は、バグがすべてなくなるか、または出荷の日がくるまで(どちらが先かは分からないが)続けられる。

建築家も、テストをしている。彼らはまずラフスケッチを描き、それがクライアントの要項を満たしているかどうかを検討する。そしてあるシナリオにそって、実際にその建築物を利用するユーザの視点で歩き回り、デザインを捻り出す。この作業は、デザインが完成して着工できる段階になるまで、何度も繰り返される。少なくとも、優秀な建築家はこれをやる。以前聞いた話では、昔、非常に高尚な建築家がいたが、巨大で荘厳な劇場の設計を依頼された彼は、この地道な作業を怠ってしまった。すべては、プレミアのリハーサル用に衣装が到着するまで順調に見えた。しかし、到着した衣装を置いておく場所がなかった。なぜって?この贅沢すぎるほどに装備のととのった劇場には、ある小さなものが欠けていたのだ -- 衣装部屋である。

繰り返されるデザインとテストは、作品を成功させるために現存する唯一の堅実な方法論である。もしあなたがデザインプロセスの構成要素としてユーザテストを加えていないのなら、金の入ったバケツを流しに捨てるようなものだ。

ユーザテストがコストを削減する

  1. 問題点は、製品が出荷させる前に改善されるべき
    どの企業も、ユーザテストを行う。そのうちいくつかの企業では、初期のプロトタイプのプロセスの一部として行っている。別のいくつかの企業ではベータの段階でこれを行っている。しかし最も多いのは、出荷した後に行う企業である。彼らのテスト対象は不幸な消費者である。そして「ユーザビリティのプロ」たちは、不幸なサポートスタッフとともにボイラー室に閉じこめられるのだ。
    ひとりの人間が1時間で初期段階の小さなプロトタイプを修正することの方が、開発者全員が血まなこになって報告された不具合を修正しバージョン1.1を準備する2ヶ月の間、部屋いっぱいのサポートスタッフが問い合わせの電話を必死に処理しつづけるよりも遙かに低コストである。

  2. 架空の問題ではなく現実の問題に集中するべき
    これはたぶん最も効果的なコスト削減方法だ。開発者はテストを行う前から、発見される問題点のほとんどについてすでに知っている。問題は、彼らが実際には発生しない不具合の可能性までもを熟知していることである。この両者を見分ける方法は、ユーザテスト以外にはない。

    ユーザテストのあまりされていない、あるいはまったくされていない製品は、実際には起こり得ないエラーを防止するための大量のコードによって、大抵容量が肥大化しがちである。ユーザはそれらのコードとそのメンテナンスのためのコストを負担しているのである。

  3. エンジニアは、議論するよりもコードを書くべき
    私はプロジェクトチームのミーティングで、10名におよぶ時給100ドルクラスのエンジニア、デザイナー、そしてマーケティングのメンバーがユーザの反応について延々と議論しているのに立ち会ったことがある。これは1時間1000ドルもかかる無知な考えだ。ひとりのユーザビリティのプロフェッショナルがいれば、科学的な手法を用いて2時間ほどで現実的な答えを出すことができるだろう。そしてその答えは恐らく正しいのだ。

  4. 納期の短縮
    適切にテストされた製品は、出荷できる状態になるまで普通8から12回の反復デザインプロセスを経る。私の場合、2から3週間で多くの反復を行う。最初は暗闇の中を勇敢に突き進むようなものだが、次第にはっきりとした姿になり、最後には研ぎ澄まされてコンパクトな良いデザインになっていく。

    デザインチームを使う場合、インプリメントのチームが作業をはじめる前に主要な部分のデザインを終わらせておこうと思うかもしれない。しかし納期が短いプロジェクトに慣れたデザイナーたちは他のチームと共同作業をする能力を持っているため、最初にインプリメントするべきエリアに集中することができる。

    もちろん、有名どころの非常に複雑なアプリケーションではより長期に渡るハイレベルな作業が求められる。期間は様々だ。ポイントは、反復デザインならば、開発者との並行作業によって短期間で出荷できる状態に持っていけることである。

  5. こうしてついにリリースまでこぎつけたら、あとは営業マンがその研ぎ澄まされたデザインを売りに行くだけだ。しかもどの不具合がバージョン1.1や2.0で修正されるのかを考える必要はない。

もしあなたのデザイナーがユーザテストのやり方を知らないようなら、知っている人を探した方がよいだろう。外部のデザイン会社を使うにしろ、新しく雇い入れるにしろ、彼らがユーザテストについてどのように語るかに注意するべきだ。もし彼らがユーザテストをしなければ、その役目はあなたの顧客が負うことになるのだ。そしてそのコストは非常に膨大なのである。


AskTog
2000.06
Copyright (C) 1998-2000 Bruce Tognazzini. All rights reserved.
Infoperience Home Site map Contact us