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AskTog
2000.10

Apple の問題はどこにあるのか?

私がこれを書いているのは、Apple の株価が下がり続けていることが理由だ。マスコミが私に何度も電話をかけてきて、なぜこんなことになっているのかと聞いてくるのである。以下の文章は私が13年間 Apple Computer に在籍し、その後10年間 Apple を近くで見守りながら考えてきたことを元にしている。これは完璧な物語ではないが、一筋の光明を見出すことができるかもしれない。

Apple は Microsoft の影で生き延びている。批評家は長いこと Microsoft に Macintosh プラットフォームから Office と Internet Explorer を撤退するよう忠言してきた。そうすれば Cupertino は明かりを消して店じまいせざるを得ないだろうと。そして次第に、Microsoft の人間は Apple が生き延びることを願っているのではないかと囁かれるようになった。なぜなら Apple が独禁法に対する最低限の防御となるからである。しかし、本当に Microsoft が Apple の良好な存続を願っているかどうかは疑わしい。少なくとも Windows の市場シェアを脅かすほど良好な存続など願ってはいまい。

私は Micorosoft の動きを観察してきた。特に Apple に対する彼らの商取引については。2年程前、低すぎる市場シェアのために大勢の優秀な開発者が Macintosh プラットフォームから去っていくのを私は見た。Steve が復帰したときに最後に引きとどめることができた開発者たちである。私は評論家たちに同意するようになった。

私の読者なら、Apple がインターフェイスに対して犯してきた罪について私が何度も非難してきたのを知っているはずだ。一番最近では OS X についてだろう。しかしそれらは身内としての批判にすぎなかった。実際には、Macintosh のインターフェイスはあらゆる点でいまだ Windows を凌駕している。だが不幸なことに、そのことはあまり知られていない。

Microsoft は一般大衆に対するのと同様に、おべっか使いのマスコミに巧妙に取り入って、Windows マシンは使い易いと納得させてきた。これを否定する圧倒的な証拠があるのにもかかわらず。その間、Steve Jobs はその権勢的な活躍によって会社に息を吹き返させ、前進する勢いとマスコミの援護を得るに至った。

Apple はこれまで何度も浮き沈みを経験してきた。あなたは今後数週間、Apple は今度こそ帰らないといった内容の文章をいくつも読むことになるだろう。その手の文章に疲れたら、1970年代後期に書かれた同じような記事の束を見せてあげよう。株価が1ドル前後から約半値に急落した時の話である。もし最初の“Apple の終焉”危機に $10,000 相当の株を購入していたとすれば、今頃は50万ドルを儲けていたことになる。もしそれらを高値で売却し、再びうまい時期に買い戻していたとすれば、小さな国が買えるほどになっていたかもしれない。そしてそのサイクルは繰り返される。

Apple の正しい行い

Apple の工業デザインは他の追随を許さない。もしあなたが G4 Cube に触れたことがないなら、汝、コンピュータストアに急ぐべし。Cube は完璧だ。基礎として、彼らは煙突から始めた。そしてそのまわりに非常にコンパクト(8インチ×3)なコンピュータを組み立てた。煙突の自然な対流によってファンは不要になる。ファンが無ければ、嫌な雑音も無くなる。

G4 Cube を開けるには、まずそれを逆さにし、お腹にあるハンドルを押し込む。そうすれば簡単に中身をスライドして取り出すことができる。私は64MBのメモリを私の息子の Cube に2分以内で取り付けることができた。Cube の開け方を調べ、メモリの装着位置を確認し、メモリを取り付け、中身をスライドして元に戻すまでの時間である。

批評家たちはメモリよりも内部の拡張性に欠けることについて議論しているようだ。確かにそれは事実である。しかし、スロットと高速なポートを欠いていた Steve の初代 Mac と違い、このコンピュータはほとんど全ての物に接続できる。Firewire、USB、Ethernet、モデムといった具合に。

iMac もまた長い道のりを歩んできた。今ではスピードを楽しみ、十分なメモリを積み、色の範囲も楽しいものから渋いものに変化してきている。

OS X も良いだろう。信頼性という、ヒューマン ─ コンピュータ・インタラクションにおける最大の問題を解決したのだ。デモの段階ではまだ間違ったインターフェイスがいくつか使われていたが、それらの多くは徐々に人々の意見を取り入れて改善されはじめている。

Apple の間違った行い

Apple の当面の問題は、売り上げの不振である。原因の多くは、専門学校や大学などの市場におけるソフトウェア販売の不調にある。その理由のひとつは、Windows の圧倒的な存在である。しかしもうひとつの理由は Apple にある。Apple はこれまで教育機関に対して熱心にディスカウントしてきた。しかし現在では、学割で Apple 製品を購入するとかえって割高になってしまうようなのである。

例えば、Apple が学割として $1500 の iMac DV Special Edition を $50 ディスカウントしたとする。つまり売値は $1450 である。しかし量販店では、追加の 64MB メモリや広域をサポートする配送システムを利用して $100 近く価格を引き下げている。Apple はいくらコンピュータを献辞しても金を稼ぐことができない。一方、Apple は生徒たちに彼らの親が支払った金額に見合うだけのものを確実に届けなければならない。

もうひとつの問題として、私の同僚である Andrew Gore の指摘するところによれば、Apple は旧型のコンピュータを販売しているということが挙げられる。Steve は iMac を発表した時、数百万ドルにも値する世間の評判を得た。今日、iMac はすでに昔のニュースだ。ステーキを客に出す時には鉄板皿が熱いうちでなければいけない。Steve は、成熟はしたが冷えてしまった iMac にもう1年余計にかまけてしまった。そしてそれは失敗だった。Cube はホットなマシンである。しかしその値代は新しい物に憧れるジェネレーション - Y の少年たちの手が届かない所にある。

Apple はまた、一般に認知されているパワー曲線についても遅れを取っている。“一般的に認知されている”と書いたのは、実際には Apple の製品はまだ PC よりも高速だからだ。PowerPC チップは周波数の約二倍の処理能力を持っている。しかしクロックスピードで言えば最速の Pentium の半分になってしまう。1秒間に処理できる量はほぼ同じということだ。問題は 1000MHz という響きが 500MHz よりもずっと速く感じさせ、世の中ではそういったスピードだけが取り沙汰されるものだということである。Motorola は新しい PowerPC の生産を急がなければならない。構造的にはもっと性能を上げられるはずなのだから。

最後に、Apple はハイエンドのプロに適したマシンを生産していないということがある。特に、ハイエンドマシンのスロットの数を6つから3つに削ったことで、拡張性と将来的な適応性を著しく落としてしまった。G4 Cube にスロットが無いことの美しさを誉めた後でこの意見は変に聞こえるかもしれないが、プロフェッショナルのニーズは全然違うものだ。複数のモニタを接続するためのビデオディスプレイカードを2枚、それに高速 SCSI カードを挿しただけで3つのスロットは一杯になってしまう。将来登場するかもしれない高速 USB などを増設する余地は無い。

結論

私はまだ Apple を信じているだろうか?もちろんである。Apple の技術、そして Apple 社の未来を私は信じている。先月私は二台の新しい G4 マシンを子どもたちのために購入したばかりだ。4スロット以上を装備するマシンが出れば、私はそれを自分用に購入するだろう。(それまでの間は、9500を使い続けるつもりだ。)

Apple はまたもや失墜した。しかも今回は深刻だ。Steve は会社を存続させるために何らかの対策を立てなければならない。いずれ司法省が Microsoft の勢いを弱めれば、Apple は市場シェアをそれなりに回復できるかもしれない。もしそれが無理だったとしても、Apple や Steve Jobs が今より過小評価されることはなくなるはずだ。彼らは今でも革新家であり、活気に溢れているのだから。


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