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2001.04 |
どこかに数百万ドルものスラムダンク級の賠償金を勝ち取ることのできる弁護士はいないだろうか。もし知っていたら私に電話するように言ってくれ。
TiVo という名前を聞いたことのある人は多いだろう。TiVo はハードディスクビデオレコーダで、あなたのお気に入りの番組をすべて自動的に録画してくれる。一つの番組を録画するために 15 個もの設定項目を入力する必要はもうない。ただテレビを点けて、メニューから録画された番組を選び、楽しむだけである。
もうひとつの有名なブランドに Replay TV がある。私の考えではこちらの方がより優位だが、それは強引なマーケティングによるものだ。ハードディスクレコーダ界の Sony とでもいった感じだが、皮肉にも Replay TV OS を搭載したマシンのほとんどは Panasonic 製である。
Replay TV は最近、決して越えてはならない一線を越えてしまった。それはコンスーマ製品の将来を脅かすものである。彼らは立ち止まるべきだ。それも今すぐに。
今何が起きているのか、そしてなぜそれが深刻な問題なのかを書く前に、それを黙認することでどんな悪影響があるのかを見てみよう。
私が最初に購入した無保証のソフトウェアは、表計算プログラムの元祖である VisiCalc だった。新製品を手にとって「無保証」のエンブレムが保証書の上に貼ってあるのを見たときにはかなりショックだった。そのような注意書きは普通、フリーマーケットで売られている壊れたガラクタや中古品についているものであり、真新しいハイエンド向け商品のためのものではなかったからだ。(Tiffany の新しいエメラルドのブローチに「無保証」のスタンプが押してあるのを見たことがあるかい?)
VisiCorp 社の説明は単純だった:VisiCorp 社は、例えばある橋の建設に VisiCalc が使われた結果その橋が水没したからといって、いちいち法廷に告訴されては困るというのである。彼らは多大な努力をして高品質でバグのない精確な計算アプリケーションのパッケージを作り上げた。しかし彼らはこれからの時間を裁判で戦うことではなく製品の更なる改良に費やしたかったのである。
人々ははじめ「無保証」の表示に驚いたものの、その説明を聞いて少し気持ちを和らげた。大勢の人がそのソフトウェアを購入し、それぞれの仕事に活用した。この反応をソフトウェア業界は見逃さなかった。そして数ヶ月後、すべてのソフトウェアに「無保証」のマークが付けられるようになったのである。
その後、「無保証」を謳ったソフトウェアの品質がまさに「無保証」に値するほどまで低下するのにそんなに時間はかからなかった。ソフトウェアハウスは法的な束縛から自由になり、ろくに使い物にならない製品を平気で出荷するようになってしまった。
企業はすぐに気が付いた。欠陥のあるソフトウェアについて顧客は文句を言えないというだけでなく、彼らは揃って次のリリースを購入し、今度こそすべてのバグが解消されているだろうと期待するのだ。毎年繰り返されるリリースは、いつも前バージョンの不具合の解消を約束するが、それらはまた新たな、場合によってはより深刻なバグを含んでいるのである。この繰り返しはいつの間にか当たり前のリズムになってしまい、もはや誰もそのことに疑問を抱かなくなっている。
これまで私が知る限り、VisiCulc のせいで落下した橋は一つもない。だが「無保証」という簡単な言葉は、生産性の低下という数億ドルの空費を生み出してしまった。もしこの最初の免責条項が認められていなかったら、世の中はどのようになっていただろうか。ここに紹介するようなシニカルで破壊的なことも起こらなかったかもしれない。
Replay TV OS の入ったマシンを壁のコンセントに差し、ローカル TV ログのために電話線を繋ぎ、アンテナまたはケーブルテレビの受像器を番組の受信用に用意して、それを見るためのテレビをセットする。使い方は、TV ログから見たい番組を選んで、リモコンの録画ボタンを一回押せば一つの番組、二回押せばシリーズ全体が録画され、あとは Replay TV マシンがすべてをやってくれるのを待つだけだ。その後、録画された番組の中から好きなものを選んで、それを見ればよいのである。
このように Replay TV は簡単にそして快適にあなたの好きな番組を撮り貯めておいてくれ、それをいつでも好きな時に見ることができるのだ。これが、二つある大きな目的の内の一つ目である。
もう一つは、これも同じくらい重要なものだが、もうコマーシャルを見なくてもよくなるということだ。ハードディスクレコーディングを使えば、いちいちコマーシャルを早送りする必要はなくなる。その代わりにユーザはスキップボタンを使ってすぐに 30 秒間の録画を飛ばすことができる。即座に、簡単に、正確に。
放送中の番組でさえもコマーシャルを避けることができる。例えばあなたが NBC の木曜夜の番組が好きだとすると、8:00pm にテレビを点け、Replay TV で NBC を選択する。そして「画面を固定」ボタンを押すと、思わせぶりなエピソードの出だしが表示された状態で画面は固定される。その裏で実際の番組はハードディスクに録画される。8:35pm まで家の中をうろうろしたら、ゆっくりと座って「再生」ボタンを押す。マシンは夜のエンターテイメントを録画し続けながらも、再生ヘッドは 8:00pm からの部分を再生することができる。コマーシャルのところに来たら? スキップして続きを見ればよい。電話が鳴ったら? 「画面を固定」ボタンを押して、画面上に固定された主人公の顔を見ながら電話に出ればよい。番組はいつもそばにいて待っていてくれる。だいたい ER が終わる時間になると、あなたは 35 分間の「時間貯金」を使い終わる。そして再びテレビに戻るのである。
私が Replay TV プレーヤを購入した時は、すべてがうまくいっていた。「画面を固定」ボタンを押すと、その時点の表示画面が固定されてそのままずっとそれが映っていた。
今でも人々は同様の機能を期待してこの製品を購入する。しかしこの前の 11 月からこの機能はまったく変わってしまった。実際のところ「画面を固定」機能はどこかへ行ってしまったのだ。この機能は「コマーシャルを見せてください」機能に取って代わられた。画面を固定するためにいつも押していたボタンを押すと、今では 25 分間もの Coca-Cola などのコマーシャルを見せられることになる。
なぜこんなことが起きたのだろうか? Replay TV はある晩 TV ログと一緒にある変更をダウンロードした。何の知らせもなく、何の選択肢もなく。彼らは基本的な機能を簡単に捨て去り、それを彼らの収益のための別な機能に置き換えてしまった。その結果、Replay TV の二つの特長の一つである「コマーシャルを見なくてもよい」という機能が失われたのである。
これはすぐに止めるべきだ。どこかにこれを止めさせることのできる弁護士はいないだろうか。
契約法のどこかに、今回のような、ある状態から別の状態に勝手に移行されてしまうことを防ぐ法律があるべきである。これではまるで、すばらしいダイニングルームのある家を購入した一年後に前のオーナーがやって来てそのダイニングルームを勝手にコンビニエンスストアに改築してしまうようなものだ。
これまでは、いかにソフトウェア業界がシニカルなアップグレードのダンスを続けようとも、それを拒否したい者は単にダンスフロアから降りれば済む話だった。しかし Replay TV の事件は別だ。ユーザはマシンの機能が明らかに低減されるのを決して望んでいなかったにもかかわらず、何の予告もなしにダウングレードが行われたのだ。ユーザはマシンの性質上、常に TV ログを受信する必要があることから、この被害を避ける方法はなかったのである。
この事例には二つの重要な点がある。まずコンピュータソフトウェアが、年に一度アップグレードされるというこれまでのモデルから、必要に応じてバックグラウンドで変更点をダウンロードするモデルに移行しつつあるという点。ある朝起きてみると、保存ダイアログの真ん中に「本当に保存したいのなら Thorny のディスカウントショップで買い物しましょう」といった広告が何の取り消し手段もなく表示されるかもしれないのだ。
次に、従来の製品にもアップグレードの道が示されるということである。ステレオアンプと受信機の製造者たちはソフトウェアのアップグレードを通してマルチチャンネルデコーダの増加をくい止めようとする。ホームオートメーションが一般的になると、冷蔵庫から電話機まですべてのものが定期的なアップグレードを必要とするようになる。「無保証」の慣例がある限り、最初のリリースはいつも欠陥を抱えることになるのだ。
購入した製品のユーザビリティを損ねる不本意なダウングレードから人々が守られない限り、一般消費者の権利は想像以上に奪われていくだろう。「消費者よ、用心せよ!」というのは簡単だが、何年も前に購入した製品をメーカーがある日突然ダウングレードしてしまうことに対して、あなたはどうやって用心すればよいというのだろうか。
誰かよい方法を教えてくれないか?
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