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2001.09 |
ウェブを散らかしている出来の悪い多くのサイトを見ると、よいデザインというものは、エラーへの対処や適切な判断といった基礎の上に成り立つものだということが分かる。それができていなかった多くの小売りサイトは一瞬のうちに姿を消してしまった。その他の、人気を得て自身満々になっているサイトは、おめでたいことにユーザーを騙すことに成功しているが、結局はかつての小売りサイトと同様にその代償を払わなければならないだろう。そしてそれはゆっくりと、痛みを伴いながらやってくる。
我々はウェブサイトのエラーにさんざん困らされてきたため、ひとつのサイトを例に取るということをためらうようになってしまった。だからその代わりに、ちょっと違う分野に目を向けることにしよう。一般家電だ。
はっきりとしたことは言えないが、おそらく Dish Network 501 衛星受信機の問題は、その製品仕様の基礎的な部分の意志決定段階に、ユーザー・エクスペリエンスの専門家が参加していなかったことだろう。
501 は、TiVo や ReplayTV と並ぶ、高度にパーソナライズ可能な次世代パーソナル・ビデオ・レコーダー(PVR)であることを謳っていたが、そうはならなかった。
確かなことは、この製品には経験と才能を持ったデザイナーが参加していたということである。501 のリモコンは非常によくレイアウトされており、ボリュームやチャンネルといったシステムの各機能を二本のジョイスティックで自由に操作できるようになっている。複雑すぎる他社のリモコンとくらべれば、とてもシンプルにまとまってる。ただ不幸なことに、他社にくらべると 501 には、機能性、適応性、信頼性が大きく欠けているのだ。
パーソナル・ビデオ・レコーダーは、多くの面で従来のビデオデッキを超えている。例えば、録画する各番組についてタイトルを付けることができるし、電源が入っているかどうかを気にせずにいつでも録画ができる。他にも、平日の 7:00 から 7:30 まで 4 チャンネルでやっている「Friends」の録画を予約することができるというだけでなく、Harrison Ford 主演の番組をすべて予約するということまでできるのだ。
501 は、そのマニュアルや広告が謳っているのとは違い、まったく PVR とはいえない。501 には従来のビデオデッキが持っていた以上の高度な録画機能はない。そう、画面の説明に従えば、平日の 7:00 から 7:30 まで 4 チャンネルでやっている「Friends」の録画を予約することはできるが、「Friends」という番組に関する情報は何も記憶してくれないのだ。それは単に、7:00 から 7:30 までの間の何かを録画するだけである。野球の中継や、政治家の演説など、将来放送されるであろうあらゆる種類の番組についても同様だ。なぜなら 501 には録画する番組についての情報を記憶するためのメモリが搭載されていないからである。従来のビデオデッキのように、それは単純なタイマーを持っているだけなのである。これは希望しない番組が録画されてしまう可能性があるというだけでなく、後からタイマーを設定し直すことが難しいということでもある。なぜなら、午前 3:00 から 3:30 までの 135 チャンネルを予約したのはなぜだったのかということを覚えておくのは難しいが、BBC の「Can't Cook, Won't Cook」を予約したということを覚えておくのは簡単だからである。
501 はまた、検索という根本的な機能を欠いている。来週「風と共に去りぬ」が放映されるかどうかを知ることもできない。わずか二日間の放映予定だけは扱うことができるが、競合製品は8〜9日間の予定を扱うことができる。これでは勝負にならない。
ReplayTV のような競合製品では、録画された番組はその番組名によって分類することができる。例えば、「Ally McBeal」二話分のあとに「Friends」を三話分、最後に「Tonight Show」といった具合に並べることができる。しかし The Dish Network 501 では、単に時系列に並んだリストで画面が一杯になるだけである。その中のどこに「Ally McBeal」が隠れているのかを予測することはできないし、そもそもそれが存在するのかどうかも分からない。それでもまったく使えないということはないが、非常に使いづらいことは確かだ。
501 には更に深刻な問題がある。時々、1時間30分の録画をしたつもりが、8時間30分も録画されてしまうことがあるのだ。三日前に録画した番組を見ようと思ったら、その上に昨晩の番組が入り交じってしまって使いものにならないということがあるのである。
そういった 501 の不具合のいくつかは将来改善されるだろう。501 は毎晩のダウンロード機能を備えている。(興味深いことに、501 には ReplayTV で私が不満を唱えた点を解消する機能があり、自動的な「アップグレード」を受け入れるかどうかを選べるようになっているのだ。だが残念なことに、現在のところ 501 はまだほとんどアップグレードされていない。)
何がいけないのだろう? おそらく、多くのコンピュータ関連の製品やサービスが持っている問題と同じなのである。ユーザー・エクスペリエンスの専門家は、いつも重要な決定が行われた後に呼ばれるか、あるいははじめからそのような専門家の話は興味を持たれないのである。
ユーザー・エクスペリエンスの専門家なら、以下のような質問にどのように回答するだろうか?
これらの質問にどのように答えるかを考える前に、まず4番目について考えてほしい。 501 は、不完全なまま発売されてしまった最初の消費者向け製品だと言えるかもしれない。しかしコンピュータ業界はもう 20 年もの間、半分程度しか完成していないような製品を出荷し続けてきたのである。バージョン 1.0 なのにバグが意外と少ないといって喜んだことが何度あるだろうか?
501 の今後は非常に興味深い。本当にアップグレードは行われるのだろうか? それともハードウェアの仕様に関して早い段階に決められてしまった制限などから、もう大きな改善は見込めないのだろうか?
私が最初 Dish Network を選んだのは、そのマネジメントや大手に挑戦する姿勢に共感したからだ。彼らは衛星テレビの価格を引き下げ、ローカルの放送局を衛星にするという挑戦をし、ケーブルテレビ業界と対等に渡り合っている。彼らは皆よい人たちだし、彼らの製品がよいものであると信じている。もしユーザー・エクスペリエンスの専門家が製品開発の中で発言力のある位置にいたならば、きっと本当の勝者になっていただろう。そして次はそうなるかもしれない。
私がはじめて WebMD(元の Healtheon)に入った時、彼らの最初の製品である収益管理アプリケーションの出荷まであと三ヶ月しかないところだった。それはもうひどい出来で、残りの数ヶ月に私ができることは非常に限られていた。
限られた時間の中で私がまずやったのは、まもなく出荷されようとしている製品の問題点をまとめた 65 ページにおよぶリストを作成することだった。クライアントが優先してやらなければならない事柄の連続に悲鳴を上げている間、我々ユーザー・エクスペリエンスのチームは改善作業の計画を立てていた。
デザイナーはすべての戦いに勝つことはできない。そして時には市場という現実の圧力が製品仕様に関する安直な判断を生んでしまう。デザイナーのなすべきことは、迅速な改善のための明確な計画のかわりに下される短絡的な判断が、長期的にどれだけの悪影響を及ぼすかということをマネジメントの人間に分からせることだ。
マネジメントの人間は、ユーザー・エクスペリエンスの専門家の意見をよく聞くべきである。適切なユーザー・テストを行えば、彼らの提案がきちんと事実に基づいているということが分かるだろう。彼らが製品についての問題点を指摘してきた時は、短期的な改善案と長期的な改善案の両方を聞いてみるとよい。優れたデザイナーであれば、その適応力によってスケジュールの大幅な変更を必要とせずに問題を解決することができるかもしれない。
ユーザー・エクスペリエンスの専門家の意見を、基本仕様などに関する初期の重要な判断に取り入れるべきである。そうすれば致命的な問題点を、初期のハードウェア、ソフトウェア、データ構造などの、後から変更することができない部分から取り除くことができる。
もしテスティングの計画を持っていない、あるいはテスティングの結果を重要視していないのであれば、おそらく 501 と同じ道をたどるだろう。あるいはもっとひどいことになるかもしれない。501 はまだましな方だからだ。何千というアプリケーションやウェブサイトのデザインと機能は、まったく話にならないほど悪い。ユーザー・エクスペリエンスの重要性が理解されていないのだ。
インタラクション・デザインは、製品やサービスの核心部分に関係する。定期的に行われるミーティングやプロジェクトの様々な場面において常にユーザー・エクスペリエンスの専門家が参加していなければ、そのプロジェクトは間違った方向に進んでしまうだろう。
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